2025年 土星の環の消失現象


土星の環(最も外側のA環)の直径は、地球の22個分でとてつもなく大きいにもかかわらず、厚みはわずか数十メートルしかないとされています。これは、土星の環をCD盤に例えると、厚みはわずか2ミクロン相当にしかならず極めて薄いのです。このため、環が真横になると環は見えなくなってしまいます。 土星の公転周期29.5年の間に、土星の春分と秋分の2回起こります。今回は土星の秋分になります。
2025年に起きた土星の環の消失現象は次の順に起きました。
2025.3.24 地球が土星の環を真横から見る
2025.5.7太陽が土星の環を真横から照らし、環面に日照がなくなり環が見えなくなる
以上の2現象は残念ながら土星の合に近く観測は困難でしたが、5月7日の現象は観測に成功しました。 さらに、
2025.11.24 頃にはふたたび地球が土星の赤道面に 0.45°まで近づき”ほぼ消失”現象が起きました。


2025年11月29日
環の傾きが極小となる11月24日から5日を経過したが、他傾きは(-0.47°)で、見た印象もほとんど変わらない。


撮影日 2025.11.29
撮影者:草野敬紀(佐賀天文協会)


2025年11月23日
地球に対する土星の環の傾きがふたたび極小(-0.45°)の頃の”土星の環の準消失”現象。 しかし、私が想像していた以上に環が明るく、小口径の望遠鏡でも針のような環が認められた。 太陽に対する環の傾きはさら大きく(-3.7°)なり、土星の環の輝度が高くなったことも理由と思われる。 土星本体中央に見える太い暗線は、土星の環の影が土星面に投影されたもの。


撮影日 2025.11.23
撮影者:草野敬紀(佐賀天文協会)


2025年11月22日


撮影日 2025.11.22
撮影者:草野敬紀(佐賀天文協会)


2025年9月30日
地球に対する土星の環の傾きがふたたび小さくなる過程(-1.9°)。 太陽に対する環の傾きは大きくなっている(-2.7°)。 土星本体中央に見える細い暗線は、土星の環の影が土星面に投影されたもの。


撮影日 2025.9.30
撮影者:草野敬紀(佐賀天文協会)


2025年7月6日
地球に対する土星の環の傾きが一時的に極大(-4.0°)になったころ。 それでも太陽に対する環の傾きはまだ小さく -0.6°しかないため、環の輝度は低い。


撮影日 2025.7.6
撮影者:草野敬紀(佐賀天文協会)


2025年5月7日
太陽が土星の環を真横から照らし、環面に日照がなくなり環が消失した。土星本体の中心に見られる暗線は、日照の無くなった土星の環そのもの。


撮影日 2025.5.7
機材:口径12.5cm F8 +バローレンズ(×3),ZWO ASI290MC
撮影者:古川隆徳(佐賀天文協会)
場所:佐賀市星空学習館


撮影日 2025.5.7
機材:口径12.5cm F8 直焦点,ZWO ASI290MC
撮影者:早水勉(佐賀市星空学習館)/画像処理:草野敬紀(佐賀天文協会)
場所:佐賀市星空学習館


撮影日 2025.5.7
撮影者:草野敬紀(佐賀天文協会)


更新履歴
2025. 5.10 初版掲載
2025. 5.12 草野さんの作品(5月7日の現象)をご厚意により追加
2025.11.28 草野さんの作品(7月6日,9月30日,11月22日,11月23日)をご厚意により追加