2018.12.11 小惑星カプレラ による掩蔽の観測成果


 2018年12月11日 05時27分(日本時間)頃 観測された 小惑星カプレラ(479 Caprera)による 7.7等星(HIP 33753)食の結果です。
この現象において、内山茂男さん(千葉県柏市),相川礼仁さん(埼玉県坂戸市),橋本秋恵さん(埼玉県秩父市),寺久保一巳さん(東京都国分寺市), 佐藤幹哉さん(東京都調布市),広瀬敏夫さん(東京都大田区),嶋邦博さん(長野県富士見町),山村秀人さん(石川県白山市へ遠征) により食による減光が観測されました。 また、渡邉訓さん(栃木県小山市),洞口俊博さん(茨城県つくば市),渡部勇人さん(三重県いなべ市)では通過(食なし)が観測されました。
内山さん,広瀬さん,嶋さん,山村さんは段階的な増減光を報告しており、これは隠された恒星が未知の重星であったことを示唆しています。また、 山村さんは、2回の増減光を観測しています。これは、小惑星の端部の地形によるものと考えられます。
ご協力いただきました皆様には、この場を借りまして御礼申し上げます。

下図は整約計算の結果です。推定直径 70kmの小惑星に対して観測から 長径75.1km x 短径68.9km 位置角111°の小惑星の断面が求められました。
また、恒星(HIP 33753 mag7.7)は、光度の近い極めて近接した重星で、離角0.0078" 位置角71°と推定されます。 ビデオを解析した宮下和久氏によると、主星はさらに複雑な連星系である可能性を指摘しています。恒星は、これまで重星としての登録がなく、 今回の観測から初めて検出されました。これほど近接した重星の検出が可能となるのは、恒星食観測の大きな特徴といえます。

小惑星(479)Caprera による掩蔽
Reduced by Tsutomu Hayamizu. (Update 2019.3.8)

※ 観測結果は星食のメーリングリスト JOIN に公開されたものです。
* 内山さん,佐藤さん,嶋さん,山村さんの現象は、宮下和久さんによるビデオの解析結果を採用しています
* 図中の●は主星による,○は伴星によるタイミングと想定したものです。


以下は、David Herald氏(IOTA,豪)による解析結果です。氏の解析では 小惑星の断面を 長径79.3km +/- 1.1km x 短径61.1km +/- 1.8km 位置角99.4° +/- 2.7° とし、重星の離角 5.9 +/- 1.1mas, 伴星の位置角 54.9°+/- 10.8°としました。
(掲載 2019.2.4)

小惑星(479)Caprera による掩蔽
Analyzed by David Herald. (Update 2019.2.4)


食の観測から得られたライトカーブ
以下は内山茂男さん,嶋邦博さん,山村秀人さんにより観測された、食の瞬間から得られたライトカーブです。 段階的な増減光を示しています。

■ 内山茂男さん(千葉県柏市)

(Observed by Shigeo Uchiyama/ Kashiwa Chiba,Japan)

■ 嶋邦博さん(長野県富士見町)
宮下和久さんの解析から得られたライトカーブです。黄色のグラフは比較星です。

(Observed by Kunihiro Shima/ Fujimi Nagano,Japan)

■ 山村秀人さん(石川県白山市へ遠征)
黄色のグラフは比較星です。山村秀人さんの観測はたいへん興味深いことに、2回の増減光が記録されています。 これは、小惑星の端部の地形によるものか、未知の衛星が存在する可能性が考えられます。
また、2回目の増減光は中間的な光度にしか復光しておらず、これは伴星が隠されたままの主星のみの振る舞いと考えられます。
(Observed by Hidehito Yamamura/ Hakuksan Ishikawa,Japan)


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